水の流れの上には満月が輝き、鶴が舞う。月夜に照らされた花々が輝き空を見上げる。そんな物語のワンシーンが表現されたかのような気品高い仕上がりとなっています。「鶴」は言わずと知れた長寿の象徴。瑞鳥として親しまれるだけでなく、その優雅に羽を広げた飛び姿が美しいと古くから日本人が大切にしてきた吉祥文様です。「梅」や「牡丹」「菊」「菖蒲」「萩」など日本に自生する四季の植物を描くことで、通年、ひいては一生を通して幸せでありたいという願いが込められています。また四角い図形のようなものも描かれていますが、こちらは「源氏香」と呼ばれる香りを表す図で、源氏物語絵巻の各帖にもそれぞ違う図が振り当てられいます。その洗練された形が好まれ、まさに貴族・雅の象徴です。これら文様全てがまさに一つの情景を生み出し、気品ある仕上がりになっています。こちらの着物は夏（6月?9月）の着用に向いている単仕立てです。裏地がない分軽く涼しいので、蒸し暑い時期にも安心して着用いただけます。