春になると一斉に咲き、そして一斉に散る桜の花。はかない桜だからこそ、咲いている様子が日本人の琴線に触れるのでしょうか。しかし美しい花が咲いたままの時間を留めておきたい心情もあります。こちらはそんな日本人の美意識が表れているような訪問着です。お着物の地色は淡い上品なベージュ。そこには満開の桜が咲き誇っているというよりは、風で吹かれながら咲いている桜の花々が描かれています。ピンクや白、淡い黄色の小桜が風で揺られ、時折、花ごと風によって空中へと舞っていってしまう情景。美しい刹那の時が描かれた桜の描写は、まるでお着物から風を感じるくらい、動きのある意匠になっています。文様の意味をいえば、桜は稲作の豊穣を願う花であり、物事の始まりを意味する縁起の良い吉祥文様になります。また桜は国花の１つであり古より日本人に親しまれ、今では外国の方にも日本を象徴する花となっています。どんな慶びの席にも着用できる桜の柄のお着物は、晴れの門出を祝う際の着用におすすめです。どことなくはかなげで、趣ある情景が人々の印象に残るこちらの訪問着にいたっては、特にお子様の入園入学での装いにもぴったりでしょう。主役がお子様になるので、ママやおばあちゃんなど付き添いの大人はあくまで引き立て役。品があり清楚で桜の意匠が琴線に触れる一着ですので、まさにお子様の門出の式典に相応しい装いになります。