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色使いがとてもポップでかわいらしい晴れ着です。地色は黒なのですが、全体にカラフルな柄が大きく配置されているので、黒が前面に来ることなく、明るい印象が生まれます。オレンジベースの帯に、赤の帯締め・志古貴（しごき）を合わせ、全体の統一感を大切にしました。モチーフに使われている「矢羽根（やばね）」とは、古典的な文様（もんよう）の一つ。矢の先に付いている羽をそのままデザイン化したものです。男の子の節句などで見られる破魔矢（はまや）のように魔除けの意味があるほか、射た矢は真っ直ぐに飛ぶということから、縁起柄の一つとされています。矢羽根の中には、松竹梅、橘（たちばな）、菊と、おめでたいとされている植物が描かれています。それぞれ、長寿や健康、教養など、様々な願いが込められている、伝統的な文様です。どれも、古くから受け継がれているものなのですが、アレンジによってこんなにも新しい雰囲気になるので、お着物とは本当に面白いものです。人生の中で、お着物を着る機会というのは、数えるほどになってしまいました。ただ、それだけ1回1回がとても貴重になっているということでもあります。皆さまの思い出を美しく彩る、この晴れ着がそんな一着であれば、これ以上嬉しいことはありません。