注文

深緑色の、極めてシックなお着物です。緑豊かな森にひっそりと存在する、美しい花園のような印象です。花びらが何層にも重なった美しい牡丹の花には、金の刺繍が施されています。葉っぱをよくご覧ください。細やかな柄が描かれてるのがわかりますか？ここには、「江戸小紋（えどこもん）」の技術が使われています。その昔、江戸時代の大名たちが着た裃（かみしも）。時代劇で、町奉行が着ている衣装、と言えばイメージしやすいかもしれませんね。贅沢が禁じられていた時代、どれだけ細かく趣向を凝らした柄入れをするか、が彼らの楽しみでもありました。麻の葉、大小あられ、青海波（せいがいは）、菊桜（きくざくら）･･･どれも江戸小紋によく見られる柄で、伝統を受け継ぎ、今のお着物に活かしています。牡丹の後ろに見える、格子状の模様は「籠目（かごめ）」と言います。少し粗い目の籠で、悪いことは通り抜けて、良いことだけをキャッチする。そんな願いがこめられた、伝統的な文様（もんよう）のひとつです。昔の人は、あらゆるものごとに「吉祥（きっしょう：おめでたいことや良いこと）」を感じて、お着物の柄などに使ってきました。我々のご先祖様たちのユーモアのセンスも、なかなかのものです。このお着物をお召しになるお嬢様も、あらゆることを心豊かに感じ、良いことをたくさん受け取って、成長を重ねていかれることと思います。