京友禅競技大会は毎年3月に開催されます。匠の意匠のみならず、機械による捺染や最先端の技術を競い合います。京都の春に行われる祭典は競技後たった1日だけ一般公開されます。そんな京友禅競技大会にて受賞したこの黒留袖は大変貴重なお着物だと言えます。多くの鶴が飛び立つ姿がとても美しいですね。描かれている鶴の頭の「赤色」から丹頂鶴と言えますね。「丹」は中国で「赤」と言う意味です。「頂」はもちろん頭と言う意味です。古来より鶴は清楚な体色と気品に満ちた体つきにより神聖化され、瑞鳥と言われ縁起の良い絵柄として好まれて描かれてきました。また「皇太子の乗る車」として「鶴駕（かくが）」と言われ「高貴の象徴」とも言われていました。道教の中では仙人と結びつけられ「長寿」であると考えられ「生命力の豊かさ」や「神秘的で縁起の良い鳥」として幸せを祝う場の着物に選ばれてきました。また一度つがいになると生涯相手と添い遂げるため「夫婦円満」の意味もあります。