黒留袖の柄行としては珍しいエキゾチックな雰囲気。和服も斬新に着こなしたいというミセスにぴったりの装いです。白から深みのある柚葉色にかけてのグラデーションは高貴な印象。華やかな文様を引き立てる効果的な背景になっています。正面で圧倒的な存在感を放っているのは、箔で縁取られた黄金の鳳凰。ペルシアを起源とし、シルクロードを経て日本へと伝わった異国情緒漂う文様は、正倉院文様と呼ばれ、格式が重んじられる工芸染織品に用いられています。唐花の縁取りの中で大きく羽を広げる鳳凰は、幸せをもたらす瑞鳥。豊かさや富を感じさせるゴージャスなモチーフで、末永い幸せを思わせます。その後ろで輝く宝相華文も正倉院模様の代表。白と金を交えることで、独特の光沢を放っています。豪華なモチーフを囲んでいるのは、シノワズリ風の唐花たち。曲線を描きながら伸び行く茎が優美で、情景すべてをバランスよく装飾しています。後ろ姿の文様は空間を活かしてシック。上品な遊び心が感じられる、新感覚の黒留袖です。