美しく穏やかな庭園が繊細な文様と金彩で表現されています。空にはもくもくと大きな雲が流れ、庭園の優しい水の流れとそこに佇む鶴、そして満開に咲く季節の草花が華やかに彩る。そんな景色を楽しむことができる1着です。雲は一瞬にして天気を変えてしまい、人々の力ではどうすることもできない不思議な力を持っていると信じられてきました。このような「瑞雲」と呼ばれる雲は、何か良いことが起きる兆しを表すとされています。すっと背筋を伸ばしクールに佇む「鶴」はおめでたい存在として昔から日本人は大切にし、健康長寿や繁栄を願いました。また1羽のパートナーとずっと共に過ごすことから夫婦円満の意味もあり、婚礼の席にふさわしい文様でもあります。さらにお着物を華やかに仕上げる季節の草花はどれも伝統的でおめでたい意味を持つものばかり。中心的に描かれる白い花は「菊」で、薬草として使われたことから、厄除けや延命長寿を意味します。「梅」と「松」はおめでたい植物としてよく知られています。寒い中で美しい花を咲かせる「梅」は忍耐や健康、「松」は1年中緑を絶やさないことから繁栄を意味する吉祥文様です。また「桜」は新たな門出の背中を押し、ツル植物である「藤」は子孫繁栄を意味します。伝統的な文様を使いおめでたい気持ちを全体で表現した1着です。