ダイナミックで美しい枝ぶりが描かれた「梅」は、吉祥文様として古くからおめでたい席に使われてきました。まだ寒い冬の終わりに、春を予感させるような美しい花を咲かせます。寒さに耐え忍び、強く生きる姿に強さや長寿を重ねて、お祝いの慶びを表現する古風な文様です。そんな「梅」の周りには扇子の形に切り取られた風景が描かれています。平安貴族の乗り物であった「牛車」はその豪華な装飾と平安時代の繁栄や雅やかな生活をあわらします。その後ろにのぞく「牡丹」は古来中国では百花の王という別名もあったほど大きく華やかに咲く姿が他のどの花よりも美しいとされてきました。女性の気品を表すともされる優美な文様です。また水面の揺れ動く様子を文様化した「流水」の文様は、永遠に流れ続ける水の姿に永遠の人生を願ったもの。その他の文様も古典的なものばかりで、まさに平安貴族が庭園を優雅に散歩しているような高貴な雰囲気あふれるデザインに仕上がっています。