目に留まるのは金色の刺繍で縁取りされた扇。そこには「百花の王」と称される“牡丹”が描かれ、華々しくお着物を彩ります。牡丹は「高貴さ」「富貴さ」「美しさ」を意味する通り、お着物の中央で美しさと高貴な雰囲気を存分に放っています。牡丹の他にも、“桔梗”、“菊”“藤”の縁起の良い意味を持つ花が描かれた扇が描かれています。扇はその形状から「末広がり」の縁起の良い吉祥文様として古くから着物に描かれてきました。また貴族たちが使用していた道具でもあり、高貴なイメージも持ちます。扇の後ろには可愛らしい“梅”の花が並びます。梅は、寒さが残る初春に、香り高い花を咲かせます。その力強さから「強さ」「尊さ」の意味を持つとされています。美しさもあり、たくまさしさもある、そんな意味を持つ梅の花は大人の女性がまとうお着物にはぴったりな絵柄と言えます。そして裾に描かれているのは水辺に舞う鶴の姿。ともに描かれている松とともに「長寿」の意味を持ち、とても縁起の良い絵柄です。華やかで縁起の良い絵柄がふんだんに描かれた美しいお着物は大切な日を迎える大人の女性にふさわしいと言えるでしょう。