パッと人目を引く存在感の黒留袖は、桂由美ならでは。ゴージャスな大輪の牡丹が艶やかな金彩色で、装う人をグレードアップします。言うまでもなく、牡丹の花は富の象徴。そして唐の詩人・白居易(はっきょい)が「長恨歌(ちょうごんか)」のなかで楊貴妃の美しさをたとえた花としても知られています。上前のメインに置かれた牡丹の花芯は赤糸で刺繍され、ゴージャスな花弁にメリハリを与えています。斜めに走るホワイトと紫色のリボンが上品なアクセント。リボンの下に置かれた亀甲花菱紋は、モダンにアレンジされた牡丹を古典的な花模様と金箔を散らした瑞雲へとつないでいます。ダイナミックでありながら典雅な伝統がいきる柄は、世界的なデザイナーである桂由美のデザインだからこそ。後ろ身ごろには、幽玄な雰囲気さえ漂います。大胆かつゴージャス。品格を備えた桂由美の「富貴の庭」は、慶びのシーンにひときわ艶やかなエレガンスを加味します。