数ある西陣織物ブランドの中でも、トップクラスの「山口美術織物」。美術性の高い帯などで知られています。歴史ある帯の機屋さんなので、技術の確かさは折り紙付き。皇室御用達であることはよく知られるところです。ＴＶドラマへの衣装提供なども、積極的にされています。各所からの信頼がある、まさに「ブランド」です。そんな山口美術織物が手がける黒留袖です。繊細な刺繍で表現された松枝。奥行きと立体感のある構図で、その枝ぶりは見事に表現されています。絵画的な美しさも、持ち合わせています。松は、おめでたいものの代表格として、今や知らない人はいないといっても過言ではないかもしれません。寒い冬においても、青々とした緑を失わない。その姿に、人々は生命力や霊力を見出し、昔から大切にされてきました。神様が地上に降り立つときに、老松を経由する、との逸話もあったりしますから、心を込めて願ったことが天に通じるような気持にさえなります。オーソドックス、と言ってしまえばそうかもしれませんが、非常に歴史のある受け継がれた文様ですから、着る人の願いを受け止めて成就させる力も、一層強いとも言えるでしょう。黒留袖らしく、品よくエレガントに。山口美術織物の歴史を折り込んだ、シンプルで飽きの来ないデザインです。