祝彩白華（はっか）の白華（＝白花）とは、岸辺に砕ける波が泡立ち、白花のように咲き誇った様子だと言われています。菅家後集（903頃）の中にある句に、晩秋題白菊「涼秋月尽早霜初、残菊白花雪不?如」（秋の早朝に初霜が降り、その霜が白菊につもり雪のようだ）と白華の美しさを詠っています。また、海道記（1223頃）にも「砂浜の水には白花散ども風を恨ず」（波が岸辺に打ち付ける白波が風によって白花のように散れるけれど風を恨んではいないですよ）と謡っています。白華は様々なうたで詠まれるほど人々の心をつかんだのでしょうね。そんな題名をつけるこの留袖は、宮崎玄祥によって白華の美しさを幻想的にかつ優雅に表現しています。裾もとにあしらわれている金泊が海の波のようで、その上を白華が舞い踊っているようです。細かい小さな花々がよりリアルに白華の存在を引き立てています。友禅ならではの巧みで繊細な染めの花は女性らしいやさしさを感じさせてくれます。また手の込んだ刺繍も優雅で高級感あふれる白華になっています。