シンプルな中にも、上品でモダンなデザイン性が感じられる一着です。大胆に配置された「正倉院文様」が印象的なお着物です。「正倉院文様」とは奈良、東大寺の「正倉院」に保管される工芸染織品にみられる文様の総称のことです。外国の影響を受けた西洋の文様は明治のはじめに開封、点検が行われるまで一般の目に触れることはありませんでした。明治に入り、染色関係者や研究者が関心を向け広い分野において文様に応用されるようになった古くて新しい文様なのです。着物に描かれる文様としてはどこか新鮮でエキゾチックな雰囲気がただようのは、外国発信のデザインだからでしょうか。花をモチーフにした唐花文や鳳凰を描いたデザインがモダンです。そして前みごろから後ろみごろまで広く配色されている“蘇芳(すおう)色”がしっとりとした美しさをもたらし、他にはない高級感を演出します。古典的な和柄にはない、モダンな美しさを楽しんでいただける一着となっております