グレイスフルな雰囲気をたたえる優しい柄の黒留袖は、控え目でいてセンスを感じさせる一枚です。褄下(つました)から、裾にかけて流れる華麗なる金色の流水。行く水の流れからしぶきを上げる波は金銀の線で描かれ、優美でありながら、みずみずしい生命力に満ちています。流れる水は災厄や苦難をさらりと流す象徴ですから、この柄を着るだけでお祝いの気持ちを伝えることができます。添えられた花々は愛らしいだけではなく、しなやかな強さをも併せ持っているかのようです。チャーミングな表情の花々を一つひとつ丁寧に見てゆくと、グラデーションのかかった花びらが旺盛なバイタリティを主張し、金糸銀糸で刺繍された花が豪華絢爛な彩りを添えています。一種類の花が咲き誇っているだけなのに、百花繚乱の趣です。流水、波しぶき、花々。いずれも寿ぎのシーンにふさわしいおめでたい柄です。古典的な文様を愛する幅広い年代の女性に選んでいただきたい一枚です。