上部に描かれているのは“貝桶”です。貝桶は、合わせの貝（蛤文）を入れる道具です。貴族たちが、相性の良い組み合わせを探す遊びである「貝合わせ」の貝をいれるためのもの。位の高い貴族たちが貝合わせで遊ぶ優雅な姿が連想されますね。貝桶は中世には嫁入り道具のひとつとして用いられていたころから、「幸せ」への願いが込められています。金の糸が施されとても豪華で上品です。下部に描かれているのは水面模様。そこから鶴たちがいっせいに飛び立つ様子が分かります。鶴のその美しく優雅な姿は古くから人々に好まれ、長寿のシンボルでもあります。水面と鶴の間には美しい花々をおさめた丸文。牡丹、梅、藤の花、松、菊が描かれています。それぞれに縁起の良い意味を持ち、お着物に華やかさと美しさをプラスしてくれます。上品で優雅な絵柄があしらわれたお着物は大人の女性にふさわしい一着といえます。