留袖にひときわ大きく描かれている「宝相華紋」は、正倉院文様を代表とするモチーフとしてお祝い事には欠かせない文様です。もともとは空想上の花を仏教で「物事が達成する完成された美と善の花」として考えられ用いられてきました。金彩と刺繍によってシンメトリー（上下左右対称）に描かれた図柄が完全な形であることからそう名つけられたのでしょうね。天皇家の紋「菊の御紋」として有名な「十六八重表菊」の元となった「菊の花」は、「長寿」の国日本を象徴する「国花」です。古来中国では、「不老不死の妙薬の謂れ（いわれ）」があり、お酒に菊の花を浮かべて飲んだとされています。そのため「無病息災」「延命長寿」「邪気祓い」の薬効として大切にされています。もちろん日本でも「高貴」「高尚」などの意味があり。日本のパスポートには「十六一重表菊の文様」が刻印されていますね。菊の絵柄の下に流れる「流水」は、「水が流れて決して腐らず、命の源」とされています。また「清廉」や「正義」などの意味も持ち、「火除け」のお守りの意味合いもあります。