金彩技法で描かれた雪輪文様が美しい桂由美の黒留袖。雪輪は牡丹雪を図案化した文様です。雪が沢山降った年は雪解け水が豊富な事から豊作になるとされ「五穀の精」として愛されてきました。また雪の結晶は正六角形で自然界の中では最強の形とされています。そんな雪輪文様に延命長寿の「松」や日本の国花でもある「菊」の花があしらわれ、一段と豪華におめでたさを表現しています。夫婦鶴（めおとづる）として用いられ夫婦の幸せや繁栄を意味する鶴。「鶴は千年、亀は万年」と言われるように長寿の象徴でもありますよね。鳴き声が共鳴し遠方まで届くことから「天に届く=天上界に通ずる」めでたい鳥ともされました。また鶴の一声と言う言葉がありますが、とても甲高い声で大きな声を出せるため、一言で議論が集結する権力者や実力者の言葉を鶴の鳴き声に例えたとされています。清楚なイメージがあり純白な体と首や羽根先のシャープな印象、羽を広げて飛ぶ姿は気品があり、鶴は縁起の良いモチーフとされ長年愛されています。「天国からの使い」や「幸運を呼ぶ鳥」とも言われています。優雅で柔らかい印象の藤の花、たおやかに咲く姿から女性らしさの象徴であり、「下がるほど人が見上げる藤の花」と詠われるほど謙虚な姿が人々を魅了し立派だと称されたようです。