水音が聞こえるかのように、水面に浮かぶ花々が流れゆく様を美しく描いた黒留袖です。流水は着物に多用される柄の一つですが、お祝いの席にぴったりなのはご存知でしょうか。一滴の雫から大海原まで様々な姿に変化する水は命の源であり、人間の健やかな生活を守ってくれる大切な存在です。日本人は、そんな流れる水を清らかな人生に例え、幸せな暮らしへの願いを込めて着物の柄に使っていました。これから新しい門出を迎えるお祝いの席にぴったりな願いが込められていますね。描かれている美しい花々は四季の花であるため、季節を選ばず、通年着用することができます。また着物にアクセントを加えてくれるのが、いくつかの花にあしらわれた銀糸の刺繍。縁だけでなく花全体に細かく施され、その銀の繊細さが可愛らしさだけでなく格式の高さを感じさせます。