お着物の柄に、平安貴族に関するものを描くことは、よくあることでした。憧れを身にまとうことができるのですから、それは素敵なことです。「几帳（きちょう）」って、あまり現代には馴染みのないものですが、わかりやすく言えば間仕切りのようなもので、平安の世では、高貴な女性が身を隠すのに使われていました。源氏物語などでも頻繁に登場する調度品で、男女のお話にはつきものの"雅なアイテム”だったようです。こういったお道具などの文様は、通年ご着用いただけます。季節を気にしなくていいって、とっても安心ですよね。前身頃から後身頃に繋がるところなんて、なんだか、バージンロードに見えてきませんか？そういう意味でも、とっても結婚式にふさわしいんじゃないかしらと、一人勝手に思っています。さて、このお着物には鶴が描かれていますが、鶴ってどんなイメージでしょうか。「鶴は千年、亀は万年」とよく言いますし、長寿に関係しそうなことは想像できることと思います。実は、鶴は「夫婦円満」の象徴でもあるんですよ。一生同じ相手と添い遂げるそうです。花嫁衣装でもよく刺繍で描かれたりしますし、黒留袖でも好んで用いられます。仰々しくなく、優しい雰囲気がすてきな一着です。