大胆で迫力ある構図。大人の女性を夢中にさせる桂由美デザインの黒留袖です。潔さを感じさせる構図の取り方は、琳派らしい洒脱さ。吉兆文様の松竹梅を印象的に配した柄行きは、通好みの渋みが漂っています。堂々たる竹はグレイッシュでシックながら、部分的に金彩加工を施されていて、圧倒的な存在感。土の中にしっかりと根を張り、成長が早いことから「威勢がよい」との意味を持つ縁起のよい文様として古くから愛されてきました。さらに、節があるところから「節制」、また、青々とした姿から「清浄」などよいイメージばかり。琳派ならではの造形的な梅も独特の存在感を放っています。白を基調に描かれた花弁は金の背景に浮かび上がって上品。控え目に佇みながらも、情景を締めている松の姿にも目を奪われます。後ろ姿は、老松が枝を張る場面。静的な文様ながら、花木のダイナミックさが胸に迫る逸品です。