少し、秋を感じさせるような色使いの黒留袖です。ちなみに、描かれている植物文様「菊」「りんどう」「粟の穂」は、秋の植物です。９?１０月ごろのお式には、ベストタイミングだと思います。雪輪文様の中に、立派な鳳凰の文様。鳳凰とは、古来中国より言い伝えられてきた伝説上の鳥です。「世界が平和になって、誰もが幸せになれたとき」に、この鳳凰は現れるとされているそうです。希望の上にいる鳥だからこそ、婚礼の場のお衣装に好んで使われたのでしょう。お着物の意匠だけでなく、建築物や紋章などにも用いられる鳳凰。聖なるもの、気高いもの、邪気を払うものとしての役割を、様々なところで担って、パワーを発揮してきたのだと思います。お式の最中は、きっと緊張の連続でしょうから、黒留袖の中から御守り的な役割を果たしてくれそうですね。もう一つ、印象的なのは「籠目文様」です。生け垣のように、互い違いに置かれています。言うまでもなく籠の目を文様にしたもので、規則正しい美しさを感じさせます。籠目は、目が粗いことが特徴で、そこが良いところなのです。なぜかと言うと、悪いことだけをキャッチして、良いことを通してくれるから。 これから新たな人生を歩んでいかれるお二人へ、幸せな未来を願う御守りの役割をもった黒留袖です。