少し抑えめですが、華やかな色使いと、ダイナミックな構図が印象的な黒留袖です。大きく羽を広げた鶴が印象的。刺繍が、羽のリアルな感じを出しています。やはり鶴はおめでたい生き物として有名ですし、悠々と飛ぶ様からはゆとりや豊かさを感じさせます。運命を全て味方につけて、自分の人生を堂々と歩んで行く、そんな願いと決意を美しく表した文様です。描かれている花々は、「松竹梅」に「菊」。どちらも、お着物の文様としては定番のもので、どなたがご覧になっても、おめでたいなという印象を抱かれるもの。一般的に植物の中でも特に花には盛りの季節があるので、着用時期が限定されるかなと気にされる方が多いのですが、大丈夫。これだけ、おめでたいものの象徴として、多くの方に認知されているので、季節の花というよりは“一つの文様”として捉えていただいてOKです。背景や、花の下を流れる波のお陰で、とても穏やかな雰囲気が生まれます。裾辺りのゴールドのラインが、新しい門出を迎えられたお二人の、これからの明るい未来を想像させ、祝宴の場にもってこいの装いです。