大きな大河のようにゆったりと流れる「流水文」。その上に美しく優雅に彩られた「色紙文」が、縁起の良い草花とともに描かれています。厄災を流してくれるとされる「流水文」は、箔加工がされることで、いっそう華やかになっており、そのきらびやかさは品を高めてくれます。色紙文に描かれているのは「文箱（ふばこ）」や「鼓」、さらに四季折々の、縁起の良い意味を持つ草花です。「文箱」とは、和歌などの文を入れておく箱で、それ自体も螺鈿（らでん）などで装飾され、とても美しい箱です。一方「鼓」は、宮廷での雅楽の演奏にも使われたことから、気高さもイメージさせる楽器です。文箱と鼓が、ともにこのおキモノに高貴さと雅やかさをかもし出してくれています。絵柄全体に、野に咲くように描かれている「松竹梅」「菊」「藤」「桔梗（ききょう）」などの草花は、全て長寿などの良い意味を持ち、祝宴を盛り上げてくれます。流水の躍動感と、色紙の落ち着きを合わせ持つ、凛とした印象のおキモノになっております。