ふっくらとした松が茂り、紅白の小花が上品な、落ち着いた面持ちの風景が描かれたおキモノです。絵柄となっている景色には、かすみがかかり、その合間には貴族のものと思われる屋敷や塔が見えます。手前には、流水文様で表現された水辺があり、ときどきしぶきも描かれることで、躍動感が生まれています。流水は「苦を流す」とされる縁起の良い文様でもあります。そこに主役として、ふっくらとした松が、赤と白の上品で雅な花とともに描かれています。「松」は言わずと知れた吉祥文様です。冬でも常に緑を保つことから、「不老長寿」を表し、晴れの日のお召し物として、とても人気のある文様です。全体としては、京の山里を思い浮かばせるような、静かながらも、おもむきのある風景の絵柄となっております。落ち着いた風情とお色味の中にも、気品のある絵柄となっておりますので、年代を問わずにお召しになっていただけます。