こちらは、京友禅競技大会受賞柄の黒留袖です。松の枝ぶりが広がるほど祝福の喜びと品格に満ち溢れる逸品となっています。おめでたいしるしの吉祥文様の中でも、格の高い松文様。常盤（ときわ）色といわれる常緑樹の松は、厳しい冬でも緑色を保つ『長寿』と『節操』の象徴です。松の柄があるだけで威厳や風格を感じさせるので、他の柄の周りに描かれたお着物が多いでしょう。しかしながら、松だけを大胆に、そして色を厳選させた黒留袖は、なかなか見かけるものではありません。金彩加工が施された金の針松。雪がかかっているような純白の針松。白い縁取りで描かれた力強い枝。しびれるぐらい潔い色使いと伝統技法は、黒留袖にまばゆいばかりの美しさを放ちます。所々に配された白く小さな梅が、威厳あるお着物に可憐な美しさを与えています。まさに最高格の黒留袖。お祝いの華やかなお席に、こちらの装いで登場すれば、目に留まった人は思わず、感嘆のため息がでてしまうことでしょう。