絵巻物の世界に飛び込んだような、パッとした華やかさ。柄全てから、お祝いの心が溢れているようです。一番に目に飛び込んでくるのは、非常に豪華な刺繍で彩られた梅鉢文様。丸く形取られた花弁が特徴的で、可愛らしさもあります。梅といえば、よく連想されるのが「菅原道真公」です。京都から福岡へ流されるときに、愛していた梅の木を想って詠んだ歌が有名ですね。「例え遠く離れていても、私のところへ香りを届けてくださいね」。送り出す親御さんの心にも繋がるような、ちょっぴり切なさを含んだ文様です。周りは、手の込んだ細かな文様で飾りました。亀甲花菱(きっこうはなびし)、観世水(かんぜみず)、華文など、位の高い人の装束によく用いられた文様で、品格の高さを表します。全体の色使いが温かみがあって、まさしく婚礼のお席にふさわしい黒留袖です。ぽわーっとしたぼかし色は、幻想的な雰囲気をも漂わせます。明るめなので、お顔映りも良さそう。せっかくの機会ですから、豪華な留袖で、お祝いの気持ちを表してみてはいかがですか。