ほのかに甘く香りが漂いそうなバラが美しい桂由美の色留袖。パリコレクションをはじめ日本の技術を世界に発信している彼女の作品は目にする者の心を躍らせます。彼女のテーマになっているバラの花は「愛と美」を象徴する花です。バラの母と言われるナポレオンの妻ジョセフィーヌ皇后もマルメゾン城に世界中から250種類以上のバラを蒐集（しゅうしゅう）し愛でたとされています。それだけバラの花は女性の心をつかんだのですね。満開のバラは「私は人妻」と言う意味もあるそうです。バラの花の横に描かれているカトレアも蘭の中で女王と言われています。「あなたは美しい」や「優美な貴婦人」などの花言葉を持ち、華麗で高級感あふれる花ですね。「成熟した大人の女性」も意味しています。バラの背景に描かれているレースの扇子は末広がりから縁起が良いとされ慶事には好まれて描かれています。レースの扇子のモチーフとして描かれているのは宝相華と言われ、架空の5弁の花の植物の組み合わせからなり、奈良・平安時代に装飾文様として盛んに用いられてきました。見る者の見方によって様々な花にみえるのが特徴です。