ピンク系の優しい色のお着物に大小さまざまな花の柄が華やかで美しい色留袖です。花の中でも大きめに描かれているのはぼたんです。ぼたんは百花の王とも呼ばれ、数ある花の中でも華やかさ美しさは格別です。白い花びらにピンクのグラデーションが女性らしい美しさをあらわしています。ぼたんの上のほうには、花をまとった鳳凰（ほうおう）が描かれています。鳳凰は、鳳が雄凰が雌をあらわします。鳳凰は空想上の鳥ですが、鶴とおなじようにおめでたい鳥とされています。頭のところまで両方の翼を大きく広げている姿は、神々しくもあります。輪郭や羽の1枚１枚が金の糸でふちどられていて、とても豪華でもあります。すぐ近くには、翼を広げて舞う姿も。鳳凰は長い尾が特徴ですが、その尾をゆったりとなびかせて飛翔する様子がなんとも優雅で美しいですね。さらに華文も優美な彩りを添えています。多くの柄はピンク系や赤系の暖色系がつかわれていますが、小さな花はブルー系の寒色系がつかわれています。暖色系の甘くやわらかい雰囲気に寒色系のクールさやシャープさが加わって、絶妙な美しさのバランスがつくられています。