趣豊かな風情を描かれている桂由美の色留袖。時の流れを優雅に表現しています。2019年春パリコレクションにて日本伝統の友禅や墨流し技法を使い「日本の書の美」をテーマに開催され世界中から注目を浴びました。そんな桂由美デザインの本作品は豊かな日本の風景が題材になっています。そのなかでもおめでたい絵柄として有名な「松竹梅」にはそれぞれ祝儀にふさわしい意味が込められています。「松」は厳寒や酷暑にも耐えその葉の色の常緑を保つことから「常盤木（ときわぎ）」と言われ、さらに神通力のなる仙人が住み「延命長寿の印」とされています。天に向かってすっきりと伸びる「竹」は、中国の故事中で霊獣の鳳凰がその実を食すため吉祥の象徴とされています。また「松」と同じく常緑を変えない事から「不変」や「長寿」を意味しています。とても可愛らしく咲く「梅」の花にも縁起の良い意味が込められています。厳しい冬を耐え忍びいち早く芳醇な香り咲く花を咲かせることから「忍耐力」や「美」を表しています。梅の「毎」の字は、「母」を意味するとも言われ、「子を産み育てる母の強さと尊さ」を表しています。さらに川岸によく植えられている「柳」は生命力の強い木で、根を張り地盤の崩壊を防ぐため「災いから身を守る」とされています。「従順」や「素直」と言う意味もあります。