薄いイエローの地色からは優しい雰囲気が感じられ、描かれる文様はどれも品のある伝統文様ばかり。雲の切れ間から美しい景色をのぞいたようなデザインになっており、雲のもくもくとした様子を描いた「雲取り」や「霞」、水の流れを描いた「流水」は自然な風景を表現しています。雲には吉祥の意味があり、流水には穏やかな人生を願う永遠の意味があります。どちらもおめでたい文様として古くより大切にされてきました。その景色の中には、四季を感じさせるよう様々な草花が咲き誇っており、華やかな様子が繊細な色使いで表現されています。「牡丹」は百花の王とも呼ばれ、その美しさから女性の気品を意味し、「菊」は抗菌効果があることから厄を避けるとして大切にされてきた文様です。その他にも縁起の良い文様の代表格とも言える「梅」「竹」、季節を感じさせる秋の「萩」「桔梗」「なでしこ」など、たくさんの草花が描かれています。四季も感じさせることから、オールシーズン着ていただけるお着物です。雪の結晶を表した6つのくぼみがある円が描かれていますが、こちらは「雪輪」とよばれ、豊作・繁栄を意味する伝統文様。文様の区切りのとして効果的に使われており、何気なくポイントになるおしゃれな存在感があります。一見シックに見えるけれど、おしゃれのポイントがたくさん隠されているのも着物の面白さの一つです。