ほとんど金銀のみで牡丹の花と熨斗（のし）を描いた、シンプルにして品格を感じさせる色留袖です。柔らかなクリーム色の地色に大きく描かれているのは、百花の長・牡丹の花。牡丹の花は豊かさと美しさを象徴し、「富貴の花」とも呼ばれます牡丹の花の周りには、前身頃から後ろ身頃まで美しいラインで繋がる熨斗の束。熨斗は、現在でも贈答品に添えられる熨斗鮑（のしあわび）に由来し、鮑の身を薄く引き延ばしたものであることから、延寿を表す吉祥文様です。こちらの色留袖の特徴は、そんな牡丹と熨斗をほぼ金銀のみで描いていること。色を使っていないにもかかわらず、刺繍あり金彩あり、金銀の色味も幅広く違えて、とても豊かな表情です。その着姿は崇高な美しさを感じさせますね。女性が人生で一最も輝く日にまとうウェディングドレスをデザインする桂由美、女性を美しく見せるセンスは秀逸です。帯には、金地に七宝文様を織り出した、豪華さと格調高さを感じさせるものを選びました。色も使っていないながら、こちらの色留袖に負けない、力のある礼装用の帯です。引き算の美学のシンプルな美しさ、自信を持ってお薦めする装いです。