和歌や俳句をしたためる料紙短冊（りょうしたんじゃく）が美しい色留袖。細長い薄い木や紙の小片に絵柄を装飾し和歌などを書き記し送ったとされています。なんとも素敵な風習なのでしょう。心のこもった短冊にはおめでたい絵柄が描かれています。円を４分の１ずつ重ねた文様の「七宝」はその名の通り「7つの宝」を意味しています。金・銀・瑠璃・波瑠・珊瑚・真珠・瑪瑙（めのう）です。また丸い円形は「円満」や「無限の子孫繁栄」をも意味しています。五穀豊穣の神が宿る木とされる「桜」は「豊かさ」の象徴です。無限に広がる波文様が未来永劫に続く幸せや人々の平安な暮らしへの願いを込めている「青海派」文様。広い海がもたらす恩恵を意味しているのでしょう。生命にとってかけがえのない水を表現した「流水紋」は「苦難」や「災厄」をさらりと流すとされ、お浄めや火難除け意味も込められています。ともに描かれている「楓（もみじ）」は、色を様々に変え人々を喜ばせることから「世渡り上手で幸せになれる」との意味があります。和歌や俳句をしたためる風流さは時の流れを穏やかに過ごせる趣を感じさせますね。