蒔絵を施された貝桶が美しいクリームイエローの色留袖。貝桶は嫁入り道具の一つとして古くから大切にされてきました。上下の貝殻が同じもので、2つで一対になることから女性の幸せを願い「良縁」や「夫婦和合」の意味を持っています。貝桶に描かれている蒔絵もとても良い意味が込められています。「鶴」は神秘的で縁起の良い鳥。「長寿」や「生命力の豊かさ」を意味し、幸せを祝う場のお着物にはよく選ばれてきました。「忍耐力」「美」を表す「梅の花」は厳寒の中いち早く花を咲かせることからその意味が込められたのでしょう。子を産み育てる母の強さや尊さも表しています。貝桶の周りに描かれている絵柄にもおめでたい意味が込められています。「松」は厳寒や酷暑にも強く「長寿延命」の意味。「菊」は、「長寿の象徴」「無病息災」を意味し、花柄の中でも最も位の高い花とされています。「藤」は長寿や子孫繁栄、「不二」「不死」とも言われています。花言葉は「あなたを歓迎します」と言う意味があるようです。「亀甲（きっこう）」は亀の甲羅に似ていることから「亀甲」と言われ、正六角形を上下に繋いだ幾何学模様が連なって描かれており、鶴と同様に「長寿」の象徴で非常に縁起の良い柄として長年愛されています。