「正倉院文様」がふんだんに使われているこちらのお着物。日本史の教科書で一度は目にしているであろう正倉院ですが、どんな場所かご存知でしょうか。正倉院は大仏で知られる奈良の東大寺にある工芸品や調度品を貯蔵していた建物で、朝廷の倉庫として大切な品々を保管していました。それらの宝物はシルクロードを通って西アジアや中国から来たもの、影響を受けたものが沢山ありました。そんなシルクロードらしい独特な文様を着物に取り入れたものを「正倉院文様」と呼びます。貴重な格式高い宝物ばかりであることから、格の高い留袖などの柄に用いられることが多い文様です。こちらのお着物にはインドの花を文様化したと言われる円形の「宝相華」があしらわれその周りには「鳳凰」が飛び、金彩も用いて優しく豪華で高級感あふれる仕上がりとなっています。「鳳凰」は架空の生き物で、鳥や孔雀、獣などを合わせた不死鳥です。不老不死の象徴で邪気を払い幸せをもたらすと言われ、古くから大切にされて来ました。「鳳凰」や「宝相華」などの「華文」はどれも正倉院に保管される錦や織物などの工芸品に描かれている文様です。古くから大切にされ、縁起の良い意味を持つ文様で着物を選んでみるのはいかがでしょうか。