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淡いグレーと白で描かれる「矢絣(やがすり)」。武士が戦うときの弓矢をモチーフにしたもので、強さを表したり、武運を祈願して武士の衣服の柄に用いられた縁起のいい文様です。淡い優しい色づかいですが、被布の濃い青が全体をしめてくれてすっきりと仕上がっています。この青は「瑠璃紺(るりこん)」と呼ばれ、深い紫みの青色。仏の髪や仏国土などの色として経典にも見られる伝統ある色とされています。存在感のある「兜」は、戦で頭を守る為に使用されてきた道具です。大切な頭を守るということから、災いから守り、長い人生で健康でありますようにというお守りの意味があります。また格が高い位でないと着用できないものなので、出世や大成の願いも込められます。「打ち出の小槌」は一生物やお金に困らないようにという意味があります。「松」は厳しい冬でも緑を保ち続け、「竹」は雪に負けずに真っすぐ伸びることから逆境に負けない力強さや生命力をあらわします。上品で、淡く優しい色づかいに、格式の高さを感じる濃い青の被布。正統派な着物は、大切なお祝いの日におすすめしたい一着です。