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大人の男性の第一礼装は「黒紋付」なので、黒色の着物は王道で上品さがあり、不動の人気さがあります。そこに重ねる真っ白の被布。色味がないので美しい文様を際立たせます。被布に描かれるのは「兜」。男の子の晴れ着でよく使用される兜は、身体の中でも重要な頭をしっかり守るための道具だったことから、邪気や災いから守るものとされています。また位が高い武士のみが着用が許されたことから、出世や大成の願いも込められています。着物に描かれる文様は「宝尽くし」。中国の吉祥思想のひとつ「八宝」から来ており、縁起の良い宝物を具象化して集めた文様です。打ち出の小槌、巻き軸、宝珠、隠れ蓑、分銅、丁子など宝物が組み合わされて描かれており、慶事の象徴とされる吉祥文様の中でも豪華さは最上級といえるのではないでしょうか。そして一緒に描かれる「松」は、四季を通じて緑色を保つことから、長寿、逆境に負けない生命力、忍耐力を意味します。また太い樹木を連想させるので、男の子らしい力強さも感じます。格調の高さと高級感を備えたこちらの着物は、晴れの日ならではの装いです。人生の通過儀礼として特別な一日を豪華に彩ってくれることでしょう。