注文

紺色の地色に雲取り（くもどり）をほどこした上で、貝桶、牡丹と菊を中心として花々を描いた振袖です。文様の下に見える、大きな雲の形の装飾を雲取りと呼び、その名の通り雲の輪郭をとり、その中の色を違えたり、装飾をほどこしたりすることをいいます。このような装飾には雲意外にも種類がありますが、雲は空高くにあり、心理的にも現実の世界からの距離があることから、どこか幻想的な雰囲気を漂わせます。中心に描かれているのは貝桶、公家の姫君などが遊ぶ貝合わせの貝を仕舞っておく、美しい容れものです。貝合わせには夫婦和合の意味もあることから、婚礼に関する行事などにはとても相応しい文様です。もちろん、礼装によく見られる古典的な意匠のため、それ以外の用途でもお召しいただけます。そして、その周りを彩る花々は、赤、ピンク、朱と暖色系を中心に、多彩な色遣いではれの着物らしさがあふれます。地色が濃いと、文様がたっぷりあってもどこかすっきりした印象になりますね。また、お顔写りをはっきりとさせてくれる効果もあります。振袖らしい豪華な華やかさの中にも、落ち着きや大人の女性らしさを感じさせたい方にお薦めの振袖です。