裾をぼかしたピンク地に薔薇柄の振袖は、1999年のパリコレで第42回FEC特別賞受賞のファッションデザイナー・ヒロミチナカノの一枚です。ヒロミチナカノといえば1980年代のDCブランドを支えたデザイナーの一人として有名ですが、制服を手掛けたことでも知られています。中・高校時代にヒロミチナカノがデザインした制服を着ていた方には、聞き覚えのあるブランドではないでしょうか。ピンク地から湧き上がるように描かれた大輪の薔薇。その大輪の薔薇からも浮き上がって見える小ぶりの紅薔薇には、裾や袂の紅色と同色が使われています。この鮮やかな紅色を使うことで、ピンク色が持つ子どもっぽい印象を抑えています。薔薇とたわむれる蝶にも、同じ紅色が使われています。蝶には「立身出世を含む未来の開拓」の意味があり、人生の岐路に立つ女性を応援する柄。特別なシーンに臨むにふさわしい振袖ですね。